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長田奈緒、ミヤギフトシ、中島あかね:Memories / Things

Nao Osada, Futoshi Miyagi, Akane Nakajima : Memories / Things
(Co-curated with torch press)
January 10, 2016 - March 27


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・会期:2016年1月10日(日)- 3月27日(日)
 ※ 毎週日曜日 12:00 – 19:00 オープン
・オープニングレセプション:1月10日(日)17:00 – 19:00
・展示および制作準備の様子を Instagram ハッシュタグ #memories_things_exhibition にてご覧になれます。

Open Letter では、ブックレーベル torch press との共同企画によるグループ展『 Memories / Things 』を開催いたします。参加アーティストは、長田奈緒、中島あかね、ミヤギフトシ。「記憶と、それにまつわる事象」について、「見えていること」「物語ること」「形作ること」という切り口から、3名の作品を紹介します。

個人の記憶、集団の記憶、社会の記憶。
モノの記憶、場所の記憶、時間の記憶。

私たちは常に、様々な外部の記憶とつながりながら、自身の記憶を想起し、それを頼りに過去から現在における自分の立ち位置、そして未来の可能性を定めようとします。
そして、記憶は定位ではなく、ゆれ動く日常の中で、そのかたちを変えていきます。

本展で紹介する3作家の作品は、いずれも見る人の記憶をゆるやかに揺り起こし、その輪郭を溶かしていく、そういった作品だと思っています。

そこにある記憶と、ここにある記憶がむすびつく。そこから生まれるなにか。
そんな感覚を本展を通して感じでいただければ幸いです。

長田奈緒:

記憶 / 見えていること|Memories / Sight

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Untitled(Tokyo), 2015, screenprint on panel, 257 × 182 mm, screenprint on textile, 590 × 415 mm

長田奈緒は、「見えているもの / こと、その在り方」をテーマに、手書きのメモや凡庸的な洋服、テッシュなどの日用品といったアノニマスなモチーフを、シルクスクリーンによって、パネルやボール紙など様々な支持体に転写する作品を制作しています。

長田の作品のアノニマスなモチーフ(モノ)は、それ故にモノに対する日常の記憶を想起させますが、同時に、そのモチーフの在り方 ー視覚的な表層のみが切り取られ、フラットに転写された状態ー とのギャップによって、日常の記憶の意味合いはずらされ、あるいは消され、とたんに不確かなものになります。長田の作品は、そうした記憶と見えているものの関係性の変容を軽やかに問うものになっています。

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Nobody is there, 2015, screenprint on paper, 322 × 200 mm, edition 3

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tissue, 2015, screenprint on plywood, 600 × 450 mm

長田奈緒

長田奈緒

1988年生まれ。2012年に東京芸術大学美術学部絵画科油画専攻卒業。2013年から2014年まで、ウィーン応用芸術大学に交換留学生として在籍。現在、東京芸術大学大学院美術研究科修士課程に在学中。東京とシドニーを拠点とする若手アーティストコレクティブ「SPVI / II」のメンバーとしても活動している。

※ 主な展示歴はページ下部参照

 

ミヤギフトシ:

記憶 / 物語ること|Memories / Narrative

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Sketch for American Boyfriend

沖縄出身のミヤギフトシは、自身のアイデンティティを紐解きながら映像やインスタレーションを用いて生み出される繊細な物語性によって、近年その評価を高めています。本展では 2013 年に torch press より刊行した作品数『new message』から、写真作品を出展いたします。ここでのモチーフは、 沖縄のガムやカナブンから、ティーパックの紅茶がしみだす数分感、震災で割れてしまったカップ、あるいは 紙飛行機に書いて米軍のフェンス越しに飛ばした届くことのないラブレターなど……。それらの出来事が彼の言葉とともに紡がれることで、ささやかで確かな物語が生まれ、記憶は再び時を刻み始めます。

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Studio shot, broken teacup after the earthquake, 2011

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『new message』ファーストエディション

ミヤギフトシ

ミヤギフトシ

1981年沖縄県生まれ。東京都在住。ニュ ーヨークに渡り、美術関連書籍の専門店に勤務しながら制作活動を開始。自身の記憶や体験に向き合いながら、国籍や人種、アイデンティティといった主題について、写真や映像、オブジェ、テキストなど、多様な形態で作品を発表している。東京都現代美術館で開催された「他人の時間」展(2015)では、2012 年より開始したリサーチ・プロジェクト「American Boyfriend」の一つとなる映像作品を発表した。2015年「日産アートアワード」展に参加。12月13日より丸亀市猪熊弦一郎現代美術館での「愛すべき世界」展に参加。torch press より刊行した『new message』のセカンドエディションが発売となった。

※ 主な展示歴はページ下部参照

 

中島あかね:

記憶 / 形作ること|Memories / Form

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2014年に第11回グラフィック「1_WALL」グランプリを受賞し、注目を集めた中島あかね。彼女は大量のドローイングを書くことで、自身の意識を超えた領域で形作られる稜線を生み出そうとしています。その絵は描く初期衝動と自身の意志のせめぎあいから、驚く程軽やかなイメージを身に纏っています。記憶のなかで形作られるようでありながら、まったく何物でもない自由な形を描こうとすることで、記憶の外にある潜在意識に手を伸ばしているようなイメージたち。消えそうに淡い色彩もまた、記憶の残像のように私たちの中にいつまでも留まるのです。

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中島あかね

中島あかね

1992年生まれ。武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒業。2014年からドローイングを中心とした平面作品を制作している。2014年 第11回グラフィック「1_WALL」グランプリ受賞。2015年 初個展「レジャー」(ガーディアン・ガーデン)を開催。

※ 主な展示歴はページ下部参照

torch press について

東京を拠点として活動する、インディペンデントのブックレーベルです。2013年12月より出版物の制作をスタートしました。主にアートブックや写真集を出版しています。

torchとは“たいまつ” “ともしび” “知識や文化の光”などの意味を持ちます。寄り添い、みちびく光。ささやかながら確かに存在する心のともしび。 同時代の作家と共に、心を照らしていくような、そんなもの作りに関わっていきたいと考えています。本を所有することの喜びや出会いを信じ、また作家たちの世界を本という形態でアウトプットする可能性を模索しながら、素材感やディテールまでこだわった本作りを目指しています。

→ Open Letter では torch press の書籍を取り扱っています。詳しくはこちら

参加アーティストの主な展示歴

長田奈緒

グループ展

2015 ”Thinking Print vol.4ーコラージュと版画、そして写真“ (京都嵯峨芸術大学附属ギャラリー/京都)

2014 ”くわばらくわばら Touch Wood” (在日オーストリア大使館/東京)

2013 ”第4回 NBCメッシュテック シルクスクリーン国際版画ビエンナーレ展” 美術家連盟画廊/東京、他

   “第7回 大学版画受賞者展” (文房堂ギャラリー/東京)

   ”NCC Shizuoka 2013 オミアゲ” 静岡市クリエーター支援センター (CCC)/静岡

2012 ”TURNER AWARD 2011” (ターナーギャラリー、他/東京、大阪、仙台、札幌)

パブリックコレクション

町田市立国際版画美術館(東京)

Tophane-i Amire Cultural Centre(イスタンブール)

アーティストウェブサイト

 

ミヤギフトシ

個展

2014 “American Boyfriend: Bodies of Water” (京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA、堀川団地/京都)

2013 “American Boyfriend: The Ocean View Resort” (Raum1F/東京)

   “New Message” (Post/東京)

2012 “American Boyfriend” (アイコワダ/東京)

2010 “A Cup of Tea”(ヒロミヨシイ/東京)

2009 “Author”(ヒロミヨシイ/東京)

   “The Cocktail Party”(ダニエル・ライヒ ギャラリー/ニューヨーク)

2007 “Island of Shattered Glass”(ダニエル・ライヒ ギャラリー/ニューヨーク)

2006 “Brief Procedures”(ダニエル・ライヒ ギャラリー/ニューヨーク)

グループ展

2015 “愛すべき世界”(丸亀市猪熊弦一郎現代美術館/香川)

   “日産アートアワード” (BankART Studio NYK/神奈川)

   “Japanese Nightingale Doesn’t Sing at Night” (XYZcollective/東京) *Curated by American Boyfriend

   “他人の時間” (東京都現代美術館、大阪国立国際美術館、シンガポール美術館)

   “VOCA展2015 現代美術の展望─新しい平面の作家たち” (上野の森美術館/東京)

2014 “Man & Play” (ブレナン&グリフィン/ニューヨーク)

2013 “Blue Valentine” (XYZ Collective/東京)

2010 “BigMinis”(ボルドー現代美術館/ボルドー)

“HOLE”(ダニエル・ライヒ ギャラリー/ニューヨーク)

2009 “Intimate Acts”(パース インスティチュート オブ コンテンポラリー アート/パース)

2008 “Anti-Hero”(マウンテン・フォールド・ギャラリー/ニューヨーク)

“25 Under 25: Up-and-Coming American Photographers Exhibition”(ティッシュ スクール オブ アーツ/ニューヨーク)

2007 “d(e)scape”(オオニシ ギャラリー/ニューヨーク)

   “Fresh: MOCA’s Summer Party and Silent Auction”(現代美術館/ロサンゼルス)

   “The Male Gaze”(パワーハウス アリーナ/ニューヨーク)

2006 “La Supurette ’06″(アイビーム/ニューヨーク)

    “When Fathers Fail”(ダニエル・ライヒ ギャラリー/ニューヨーク)

2005 “La Supurette ’05″(エクジット・アート/ニューヨーク)

   “Affair”(ジャズ オン ザ パーク ユース ホステル/ニューヨーク)

   “Group show”(グリーン・ストリート ギャラリー/ブルックリン)

その他の活動:

UTRECHT

THE TOKYO ART BOOK FAIR

OSSU

アーティストウェブサイト

 

中島あかね

個展

2015 ”レジャー”(ガーディアン・ガーデン/東京)

グループ展

2015 ”半芸術展(ギグメンタ2015)”(文房堂ギャラリー/東京)

   ”trax sellection 2015”(ギャラリー・トラックス/山梨)

   ”五十一八クリエイティブプロジェクト(TRANCE ARTS TOKYO 2015)”(TETOKA/東京)

2014 ”第11回グラフィック「1_WALL」展”(ガーディアン・ガーデン/東京)