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濱田 晋|あたりまえのことたちへ Ⅱ

Shin HAMADA | atarimae・no・kototachie Ⅱ
February 27th - April 4th, 2021

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*English follows Japanese

 関連リンク
❏ 本展のzineの通販 / Shop exhibition zine
❏ ギャラリー後記『意味から遠く離れて』 / Gallery’s note “Far from the meaning”



Open Letterでは、2021年2月27日より写真家 濱田晋さんの個展『あたりまえのことたちへⅡ』を開催いたします。

「写真を撮るという行為は、生きる態度そのもの」という濱田さんは、特定のモチーフや技法に固執せず、薄晴れのビル群やファミリーレストランの店内、足元にころがる小石など、流れていく日常のなにげない風景を切り取ります。(濱田さん本人の言葉を借りると「わからないあたりまえを採取する」)

あまりにアノニマスなそれらの写真は、ゆえに、見る人の記憶に溶けていくような軽やかさを持つ一方、撮ること、すなわち世界との関わりを「あたりまえのこと」として続けることで、自らの寄る辺を更新しながら保っていこうとする、濱田さんのしなやかで確かな態度のあらわれのようにも見えます。

本展は、2019年にオン・サンデーズにて開催された『あたりまえのことたちへ』展の第二弾となります。オン・サンデーズでの展示と同じく、濱田さん自身が”石”と呼ぶ立体作品の新作と写真で構成されます。ぜひご覧にいらしてください。

※濱田さんのアーティストインタビュー動画をこちらのページでご覧いただけます。



濱田晋『あたりまえのことたちへⅡ』 展覧会概要

・2021 年 2 月 27 日(土) – 4 月 4 日(日)
・毎週土曜日、日曜日 11:00 – 17:00
・入場料:¥500(児童、近隣の方は無料)
・キービジュアル デザイン:山野英之
・展示の様子を Instagram #atarimaenokototachie でご覧いただけます。

 

本展に寄せられたテキスト(兼平彦太郎氏より)

実は僕は、濱⽥晋という⼈物をそこまでよくは知らない。何度か彼の展⽰や作品を⾒たことはあるけれど、実際に彼に会ったことは、ほんの⽚⼿で数えられるくらいだ。ただ周囲の、それも割とその⾒る⽬を信⽤している友⼈たちから、彼の名前はたびたび聴いていた。いい写真を撮る写真家がいるよ、と。そんなこともあって、僕は彼のことを親しみを込めて勝⼿に晋くんと呼んでいる。

その晋くんから年明けの個展にあわせて何か書いてほしいと頼まれて、帰省や旅⾏もままならない年末年始を彼の写真集「Looking at different things / Doing the same thing」を傍らに置いて過ごすことにした。それは写真集とは⾔ったけれど、いわゆる写真家がとらえた⾵景やポートレイトといった写真をまとめたものではなく、彼が近年取り組んでいる⼟を⼿で握っただけのような(と僕は良い意味で思っている)陶器のオブジェや、メールやメモの⼀部なども⼀緒に編まれていて、晋くんの外側のアンテナと内側のアンテナでキャッチしたものを平等に並べたようなつくりになっている。それはいわば彼⾃⾝のメモ書きのようでもあるし、いまだ答えの出ていない思考の途中経過のようでもある。

年明け、正⽉らしくよく晴れた⽇に、僕はいつもの近所の公園で「Looking at different things/ Doing the same thing」を開いて、それを⾒るでもなく、そこでいつものようにバスケットボールをする少年たちを眺めるでもなく、ベンチに座っていた。すると⽬の前に⽊の枝がポトンと落ちてきて、僕は、はっとする。”異なるものを⾒ている / 同じことをしている”と名付けられた⼿元の写真集のタイトルをなぞるように、⽇常とは同じことの繰り返しのように⾒えて、実は似て⾮なることの連なりであること。そのなんとも曖昧で名付けようのない⽇々の認識や⾏為。それから慣れや習慣という名の順応に対して、予期せずエクスキューズが差し出されたからである。

表参道のアートブックを扱う本屋のユトレヒトで、晋くんの写真展「Practice of thinking / 思考の練習」を⾒る機会があった。そういうわけで、彼の名前はたびたび⽿にしていたし、写真家として既に頭にインプットはされていたけれど、プリントされた彼の写真を意識して⾒たのは、そのときが初めてだったと思う。その写真は僕が好きな光の⾊をとらえていて、ゆるやかな展⽰のシークエンスも⼼地よく、それでいてなにかを明確に伝えようとしているというよりは、公園で感じたのと同じく、あたりまえだと感じていることをもう⼀度⾃らに問い直して、思考したり想像したりしてみたくなるような、そんな構成だった。

写真と展⽰の構成の妙もあって、僕は、そこで売られていた同名タイトルの写真集を買おうとしたのだけれど、なんとそれは 10 冊しかつくられておらず、とうに売り切れていた。なんだかそのたった 10 冊の出版物というアプローチが、僕が普段仕事をする現代美術の作家たちやリスペクトするレジェンドたちのそれに近いような気がして、僕は彼の作品や活動にますます興味を持った。

晋くんとの初めての出会いは、彼がキュレーションをした展覧会だったと記憶している。渋⾕の雑居ビルの⼀室のワイルドなギャラリーでそれは⾏われていて、写真表現に限定されず具体の作家や気鋭の映画監督など、⼿法も世代も異なる様々なジャンルの作家たちの作品が出品されていた。それはとても荒削りではあったけれど、晋くんの興味やバックグラウンドがはっきりと⽰されたもので、彼の写真家としての意志表明のようなものだったのだと思う。

どうやら晋くんは、先⼈の写真家たちが試⾏錯誤し挑戦してきた道に進もうとしているようだ。彼が⽬指すその先にあるのは、いまだ誰も⾒たことのない写真表現の新たな可能性かもしれないし、既に誰かが到達した焼き直しかもしれない。どちらにせよ、その道は険しく厳しい。けれど⾃⾝でその道を歩いてみなければ、その景⾊は⾒えてこないし、本⼈も納得はしないだろう。そこそこの撮影技術があって美しい写真が撮れるのであれば、それを糧にそれなりに⽣きていくことはできるかもしれない。でも、彼はそこにとどまらずその先の景⾊を⾒るための挑戦をしようとしている。果たして彼は、どちらに転ぶだろうか。写真を撮り、展⽰をし、本をつくるたびに、いろいろなことを思考し実験をする。それが、どんな形であれ、彼⾃⾝のいまは⾔葉にさえなっていない表現の核⼼に近づいていけばよいなと期待をしている。

兼平彦太郎(キュレーター)


展示風景(写真:濱田 晋) / Installation view (Photo by Shin Hamada)

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作家プロフィール

濱田晋 Shin Hamada
1987年 兵庫県生まれ。 主にポートレイト・ドキュメンタリー・取材の分野で撮影を行いながら、「わからないあたりまえを採取する」というコンセプトで、日常の風景を撮影した写真作品を立体作品やテキストなど様々な表現手段と組み合わせながら制作している。zine制作にも精力的に取り組んでおり、ライフワークである『CHILL!』シリーズは10年以上続いている。
ウェブサイト / Instagram

展示歴

2020「岩・紙・風」(Utrecht, 東京)
2020「TRACKS」(SALT AND PEPPER, 東京) 
2019「あたりまえのことたちへ」(ON SUNDAYS, 東京) 
2018「Looking at different things / Doing the same thing」(READAN DEAT, 広島)
2017 企画グループ展「スイッチイナウト」(ROOM412, 東京)
2017「FIGHT FOR MY RIGHT」(About Life Coffee Brewers, 東京)
2017「Practice of thinking 思考の練習」(Utrecht, 東京)
2016「それから and then」(ON READING, 愛知)
2016「それから and then」(NEW ACCIDENT, 金沢)
2015「それから and then」(みどり荘, 東京)

出版歴

2020「岩・紙・風」(self publishing)
2020「TRACKS」(SALT AND PEPPER)
2018「Looking at different things / Doing the same thing」(白い立体)
2017「Practice of thinking 思考の練習」(BURNING PAPE®︎)
2015「それから and then」(BYONE PRESS)


 

Shin Hamada | atarimae・no・kototachie Ⅱ

Open Letter is pleased to announce a solo exhibition by photographer Shin Hamada, “atarimae・no・kototachie Ⅱ,” starting February 27, 2021.

Mr. Hamada, who says that “the act of taking a photograph is a life attitude itself,” does not adhere to any particular motif or technique, but captures the casual scenery of everyday life, such as buildings in the light of day, the interior of a family restaurant, and pebbles lying at his feet.
These photographs, which are so anonymous, have a lightness that seems to melt into the viewer’s memory. At the same time, they seem to be a manifestation of Hamada’s flexible and steady attitude toward keep updating his own place in the world by continuing to take photographs, or in other words, to keep his relationship with the world, as a “natural thing (atarimae・no・koto)”.

This exhibition is the second version of the “atarimae・no・kototachie” exhibition held at On Sundays in 2019. New works from ceramic-like sculpture series exhibited at On Sundays will be displayed together with the photographic works.

The key visual for this exhibition is work in progress. Please stay tuned.
(The work at the beginning of this page is “Shibuya I.”)

Shin Hamada “atarimae・no・kototachie Ⅱ” Exhibition Outline

  • Dates: Saturday, February 27, 2021 – Sunday, April 4, 2021
  • Opening hours: Every Saturday and Sunday during the exhibition period, 11:00 a.m. – 5:00 p.m.
  • Admission: ¥500 *Free for children and residents of the neighborhood
  • Please check out ourInstagram #atarimaenokototachie to see the exhibition scenery.

Artist Profile

Shin Hamada
Born in 1987 in Hyogo Prefecture. Hamada mainly shoots in the fields of portraiture, documentary, and interviews. As an artist, he creates sculptures of everyday scenes, combining them with various means of expression such as sculpture and text, based on the concept of “collecting the ununderstandable ordinary. He has also actively worked on zine creation, and his life’s work, the “CHILL!” series, has been running for more than 10 years.
Website / Instagram

Exhibitions

2020 “Rock, Paper, Wind” (Utrecht, Tokyo)
2020 “TRACKS” (SALT AND PEPPER, Tokyo)
2019 “atarimae・no・kototachie” (ON SUNDAYS, Tokyo)
2018 “Looking at different things / Doing the same thing” (READAN DEAT, Hiroshima)
2017 “Switch Inout” (ROOM412, Tokyo)
2017 “FIGHT FOR MY RIGHT” (About Life Coffee Brewers, Tokyo)
2017 “Practice of thinking” (Utrecht, Tokyo)
2016 “sorekara and then”, ON READING, Aichi, Japan
2016 “sorekara and then” (NEW ACCIDENT, Kanazawa)
2015 “sorekara and then” (Midorisou, Tokyo)

Publications

2020 “Rock, Paper, Wind” (self publishing)
2020 “TRACKS” (SALT AND PEPPER)
2018 “Looking at different things / Doing the same thing” (White Solid)
2017 “Practice of thinking” (BURNING PAPE®︎)
2015 “Then and then” (BYONE PRESS)