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【Closed】濱野絵美 | 不確かさの記録

Emi Hamano|Trace of Uncertainty
July 15, 2017 - September 17

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*English follows Japanese

・会期:2017 年 7 月 15 日(土) – 9 月 17 日(日)
・オープニングレセプション:7 月 15 日(土)17:00 – 19:00
※ 毎週土曜日、日曜日 12:00 – 18:00 オープン(その他の日時はアポイントメント制)
※ 夏期休廊:8 月 12 日(土)〜27 日(日)

Open Letter は、アーツ千代田 3331 への移転後の 2 回目の企画展として、濱野絵美 個展『不確かさの記録』を開催します。Open Letter での濱野さんの個展開催は、2 年前のギャラリーのこけら落とし以来となります。(2015 年 6 月に開催された 濱野絵美 個展『form / category』
濱野さんは、東京藝術大学で銅版画を学び、2015 年に同大学院を修了。現在は都内の版画工房にて制作を行なっています。
本展では、前回の個展で見せた、幾何学的なストイックさと偶発的な画面の揺らぎをさらに掘り下げた大型作品を含む新作を 6 点展示します。

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新作作品のひとつである “Random Composition 1.5″

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本展用の新作より

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版画工房カワラボ!にて刷り上がった作品をフラットにするための水張り作業中の濱野さん。

“日々、不安や明瞭ではない出来事が起こる不確かな状態(日々)の中で、不確かな図(ばらばらの無作為の線の集積)を作り始めた。それを自身の(版画技法)の秩序(ルール・規則性)に乗っ取って、確かな形として版や紙の支持体にイメージとして残していきたい。”(濱野絵美)

濱野さんの作品の主な技法は銅版画です。一般的に版画は、版に刻まれた / 描かれた図柄をいかに忠実に印刷できるか、というのが重要になってきますが、濱野さんの作品は、同じ版から刷られたものでも、エディションによってまったく違う表情を見せます。
インクの濃淡のムラや、版面についたノイズによる引っかき傷のような跡などが、刷るごとに異なるパターンで画面に現れる。
もちろん、意図的にムラがでるように版にインクを詰めたり拭き取る作業を行っているのですが、それでもどんな風に刷り上がるかまではコントロールできません。
できない、というよりもランダムに仕上がる余白を残して偶発性(不確実性)に積極的に委ねている感じです。
また、版の図柄についても、グラフィックソフトの Illustrator でまずはきっちりと規則的に線が並んだ方眼紙のようなパターンを作り、そこから線を無作為にバラしたりズラしたり(足したり引いたりはしない)しています。

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刷りの度に異なるノイズやムラが生じる。

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版にインクを詰め、余分なインクを拭き取る作業。

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プレス機で印刷。刷り上がるまで、仕上がりは分からない。

「不確かな状態を表す不確かな図を、版や紙の支持体に確かな形として残したい」と濱野さんは言う中で興味深いのが、版と紙の両方を支持体として捉えていることです。
通常、版画であれば最終的なアウトプットの受けとなる版画用紙のみが支持体になるはずです。
しかし版も支持体として捉える濱野さんにとって「残す」というアウトプットは、1 枚の作品につき、銅版にニードルで刻むこと、その銅版から印刷すること、その 2 回に渡って行われます。
1 回目は、不確かなもの(不安定な日常)を確かなもの(銅版に刻まれた図柄)にする記録として。
そして 2 回目は、その確かなものを再び不確かなもの(ムラやノイズ)を含んだものにする記録として。
ややこしい言い方ですが、そのいずれも、濱野さんにとっては「確かな形」であり、日々のどうしようもない不安定な状態に対して少しでも主体的に関与し、自身の存在を刻み込む、その実験やドキュメントであるように思えます。(本展では、銅版の一部も展示予定です)

当初、本展のタイトル案は、『ちょうどいい状態が分からない』という放棄の態度を感じさせるものでした。それが制作を続ける中で、『不確かさの記録』という、少し冷静で能動的なタイトルに変更されたのも、不確かさに向き合う濱野さんの態度のあらわれのように感じます。

ぜひ、濱野さんの不確かさの記録をみにいらしてください。

 

Biography

1990 東京生まれ

2015 東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻版画研究室 修了
2013 東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻 卒業

Solo exhibition

2015 “form / category” Open Letter(東京)
Group exhibition
2015 “第63回 東京藝術大学 修了作品展” 東京藝術大学(東京)
2014 “MIRAGE”メタルアートミュージアム 光の谷(千葉)
2013 “第38回 大学版画展” 町田市立版画美術館 (東京)
    “俵賞展” 東京藝術大学 立体工房 (東京)
    “e.d 99 東京藝術大学 版画第一研究室展” 望月定子美術館 (千葉)
    “G9展”B – gallery (東京)・京都アートゾーン神楽岡(京都)
    “第61回 東京藝術大学 卒業作品展” 東京都美術館(東京)

Public collection

帝京大学
メタルアートミュージアム 光の谷

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Emi Hamano | Trace of Uncertainty

July 15(Sat.) – September 17(Sun.) *Open every Saturdays and Sundays 12-6pm

 

Open Letter is pleased to present “Trace of Uncertainty,” Emi Hamano’s second solo show.

Hamano earned her master’s degree in printmaking at Tokyo University of the Arts in 2015, and currently lives and works in Tokyo.
For this exhibition, Hamano has created 6 new works all of which she evolved her minimum-yet-organic style since her previous solo show in 2015.

“In this anxious and unstable society where uncertain things occur, I started creating uncertain images that are accumulation of disjointed lines.
I want to trace the images as stable forms on copperplates and print papers according to my own rules that is also regularity of printmaking.” Emi Hamano

It is interesting that Hamano sees both copperplate and paper as supports when she says “I want to trace the images as stable forms on copperplates and print papers.” In general, only paper should be support because final output image is printed on it. For Hamano, output is done twice: engraving images on copperplate, and printing the images on paper from the copperplate. The first output is a trace of the uncertain things (uncertain everyday-life) changing to the stable things (images engraved on copperplate), and the second output is a trace of the stable things changing to uncertain things again (images with some print noise and uneven shade of color). Saying both are “stable forms” for herself, Hamano seems to see those two outputs as experiment or document of her attitude of precipitation in this unstable society.

The exhibition title was planned to be “I don’t know what’s well-balanced” which feels somehow abandonment, but as Hamano proceeded making artworks,, the title changed to “Trace of Uncertainty” that feels both objectivity and Subjectivity. This episode may show Hamano’s attitude as an artist facing with this unstable society.