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【Past Exhibition】芦川瑞季|気を散らすための日溜まり

Mizuki ASHIKAWA | Sunny nook for diversion
January 11, 2020 - March 8

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Open Letter は、上北沢の新しいスペースでのこけら落としとして、芦川瑞季『気を散らすための日溜まり』を開催します。

芦川さんは現在、武蔵野美術大学大学院 造形研究科博士後期課程に在籍中。リトグラフを主な表現技法とし、散策中に不意に出くわす様々な風景をモチーフに、現実と仮想を往還するようなイメージをモノクロームの版画作品として制作しています。

(上下とも)特異点について(2019, 紙にリトグラフ)写真:加藤貴文

(上下とも)特異点について(2019, 紙にリトグラフ)写真:加藤貴文

 風景の一片が立ち上がる瞬間

住宅街の路地、誰かの家の庭、緑が生い茂る裏山・・・精緻に描写された風景に断片的に挿入される、尺度や遠近感がさまざまな漫画風のイメージ。それらは、芦川さんが描きかけのまま、あちこちに残しているスケッチから拾ってきて再構成したもの。画面を覆う風景描写と断片的な漫画風イメージは、徹底したモノトーンの画面上で奇妙なバランスを取りながら、同時に緊張と違和も生んでいるように見えます。

芦川さんは、外を歩く際「不意に何気ない風景の一片が、自ずと立ち上がり、こちらにやって来るような瞬間」があると言います。そのとき、自分と風景の関係は逆転し、これまで意識していなかったものが急に意識せざるをえないものになる。それはたとえば、散策中にふと五感に入り込んでくる誰かのうちの匂いや光景であり、スマホの画面で毎日眺めている世界から意識を飛ばすための鮮烈なリアリティであり、さまざまな「こうである」を発動させる仕組みから逃れるためのものである、と芦川さんは言います。この「風景の一片が立ち上がる瞬間」から得られる感覚を、芦川さんは断片的なイメージを風景に織り込むことで表現しようとしています。

武蔵野美術大学終了制作展より 写真:加藤貴文

判断を留保する

芦川さんは、作品を通じて、見たものについての解釈や判断をいったん留保する、そうした姿勢を示したいと言います。目の前で起きていることへの即座の判断をやめ、見たまま留保しておくことで、認識が一元化されることを逃れ、自分の中で時間をかけて解釈する、それが可能になるのではないか、と。
そのために、複数のイメージをなじませず、ぶつけあったまま一つの表面に刷り起こす。この版画の特性を活かした、エスキース(下絵)をそのまま清書していくようなアプローチで、芦川さんは「留保の姿勢」を作品に表出しています。

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外を歩くと、不意に何気ない風景の一片が、自ずと立ち上がって見えてくることがある。景色と観測者との関係性が逆転する瞬間は、社会を包みこむ様々な意識から外れる瞬間でもある。

圏外に意識を持って行くことで、あらゆるバイアスから抜け出すことが可能になるだろうか?メディアが可能にする表面的なやりとりを噛みしめて、外部から受容した感覚を解釈し編集し、表出する。未消化な部分には脚色や仮定を混ぜながら。

そのためには、与えられた環境や空間を吟味し巻き込んで、できるだけ浅はかでいる必要があった。

芦川瑞季
TOKAS-Emerging 2019での個展『圏外からの景色』のためのテキストより)
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本展のタイトルにある『気を散らす』とは、まさに上で言う「社会を包み込む様々な意識から外れる瞬間」のことであり、『日溜まり』は、その瞬間に立ち現れる風景を指します。
芦川さんが描き出そうとする留保の風景を、ぜひご覧にいらしてください。

作家インタビュー「散歩と制作 / 平面に集中する

 芦川瑞季 プロフィール
1994年静岡県生まれ。東京都を拠点に活動。
武蔵野美術大学大学院造形研究科博士後期課程作品制作研究領域在籍。
作家ウェブサイト

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スタジオで版に描画する芦川さん

主な展覧会
TOKAS-Emerging 2019(Tokyo Arts and Space)
シェル美術賞2018(国立新美術館、東京)
第19回グラフィック『1 WALL』(ガーディアン・ガーデン、東京、2018)
AOMORIトリエンナーレ2017 Classical(青森県立美術館コミュニティギャラリー)

主な受賞
・武蔵野美術大学終了制作展 研究室賞(2019)
・AOMORIトリエンナーレ2017 準大賞・特別賞(村上新町病院賞)
・第42回全国大学版画展 優秀賞(2017)

 

展示風景(写真:半田貴功)

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インスタグラム #気を散らすための日溜まり もあわせてご覧ください。

作品のお問い合わせは info@openletter.jp まで。

 

新しいOpen Letterのスペースについて
たくさんの方のサポートを受けながら、築60年の木造一軒家を、ギャラリーディレクターの山内と中庭がDIYで改装してきました。展示空間と生活空間がゆるやかにつながった、アートプロジェクトハウスとして再始動します。
(改装の様子は、Instagramの #openletterdiy でご覧になれます)

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